千葉地方裁判所 平成6年(行ウ)15号 判決
原告
株式会社マルヨシ
右代表者代表取締役
吉野幸雄
被告
野田市長
根本崇
右訴訟代理人弁護士
石津廣司
右指定代理人
張能和男
同
遠山康雄
事実及び理由
第三 争点等に対する判断
一 本件却下処分の取消しを求める訴えについて
1 地方税法六〇五条の二は、「市町村長は、天災その他特別の事情がある場合において特別土地保有税の減免を必要とすると認める者その他特別の事情がある者に限り、当該市町村の条例の定めるところにより、特別土地保有税を減免することができる。」と規定しており、これを受けて、本件条例一二六条の二の一項は、「市長は、次の各号の一に該当する土地又はその取得のうち、市長において必要があると認めるものについては、その所有者又は取得者に対して課する特別土地保有税を減免することができる。(1)公益のために直接専用する土地 (2)市の全部又は一部にわたる災害により、著しく価値を減じた土地 (3)前2号に掲げる土地以外の土地で特別の事由があるもの」と規定している。
2(一) そこで、本件において、原告に右条例一二六条の二の一項三号にいう「特別の事由」があるか否かについて検討するに、まず、右の「特別の事由」とは、現行の非課税措置との対比均衡上または社会通念上特別土地保有税を課することが相当でないと認められる事情があるものをいうと解するのが相当である。
(二) これを本件についてみるに、たしかに、〔証拠略〕によれば、野田市は昭和五〇年頃に日本電建株式会社からなされた開発申請に対し別紙図面一の現状のような道路付け(現丁字型交差点の設置)について支障はない旨の判断をし、その結果現交差点が現出していることが認められるけれども、しかし、当時と本件土地開発申請時とでは社会事情も交通事情も大きく異なっているのであって、それ故千葉県警察本部が本件交差点協議において前記指導を行なったことをあながち不当なものということはできず、その指導の実現や緩和策等の協議にある程度の時日を要することは当然であり、原告においてもこれを忍受すべきものである。そして、その間に生じたいわゆるバブル経済の崩壊が未だ前記災害に準じるものともいえず、更に、何よりも、原告は、自己の損害を最少限にくいとどめるべく、自らの判断で、本件土地の宅地造成販売計画を中止して本件土地を他に売却してしまったのである。以上の事情を考慮すると、本件においては、原告に対し特別土地保有税を課することが相当でないと認められる事情すなわち「特別の事由」があるものとは未だいえない(評価できない)というべきである。
被告市長のなした本件却下処分は適法であり、原告の右主張は採用できない。
(裁判長裁判官 原田敏章 裁判官 木納敏和 有賀直樹)